Scala関西Summit 2016へ参加・登壇したぞ! #scala_ks
参加した!
で、セッション募集に応募したら採用されたので登壇もした!
セッションではScalaの表現力を支える仕様を解説して、仕組みが分かるとまた違った楽しさが見えてくるよねー、っていう思いを伝えたかったのでした。
レビューしてくれたがくぞさん、ありがとうございました!!!
私はJavaエンジニアなので懇親会ぼっちになるかなー、と少し思ってたんですが友人をはじめ、わいわいお話できて楽しかったです!
ひしだまさんと写真撮ったぜー!!!
— うらがみ⛄ (@backpaper0) 2016年10月8日
セミコロンレスJavaで戻り値のあるメソッドを定義する(ただし返ってこない)の解説
セミコロンレスJavaで戻り値のあるメソッドを定義する(ただし返ってこない) https://t.co/OQfRPvQWlN
— うらがみ⛄ (@backpaper0) 2016年2月25日
これがなぜコンパイルを通るのか?という疑問を見かけたので解説してみます。
到達不能文
例えば while(false) { ... } とした時、この while ブロック内の文は絶対に実行されません。 このように絶対に実行されない文を 到達不能 と表現し、到達不能な文がある場合はコンパイルエラーになります。
次のような内容で Sample1.java を作成して javac してみてください。
public class Sample1 {
public void whileSample() {
while(false) {
System.out.println("到達不能!");
}
}
}
次のようなエラーになります。
Sample1.java:3: エラー: この文に制御が移ることはありません
while(false) {
^
エラー1個
for 文でも同じ事ができます。
public class Sample2 {
public void forSample() {
for(;false;) {
System.out.println("到達不能!");
}
}
}
Sample2.java:3: エラー: この文に制御が移ることはありません
for(;false;) {
^
エラー1個
try 文はエラーメッセージは違いますが、次のようコードは到達不能な文を含むのでコンパイルエラーになります。
public class Sample3 {
public void trySample() {
try {
System.out.println("到達可能");
} catch(RuntimeException e) {
System.out.println("到達可能");
} catch(IllegalArgumentException e) {
System.out.println("到達不能!");
}
}
}
Sample3.java:7: エラー: 例外IllegalArgumentExceptionはすでに捕捉されています
} catch(IllegalArgumentException e) {
^
エラー1個
特別扱いの if
ここまで while 、 for 、 try の到達不能な文を含むコードがコンパイルエラーになる例を見てきました。 if 文でも同じような事ができるかと思いきや、次のコードはコンパイルできてしまいます。
public class Sample4 {
public void ifSample() {
if(false) {
System.out.println("到達不能!");
}
}
}
到達不能な文を含んだ if 文はどのようにコンパイルされたのか、 javap -c Sample4 して確認してみましょう。
Compiled from "Sample4.java"
public class Sample4 {
public Sample4();
Code:
0: aload_0
1: invokespecial #1 // Method java/lang/Object."<init>":()V
4: return
public void ifSample();
Code:
0: return
}
ご覧の通り、 if 文が綺麗さっぱり消えていますね。
では、 if の条件式を true に変えてコンパイルして javap してみましょう。 (クラス名などは少し変えてあります)
Compiled from "Sample5.java"
public class Sample5 {
public Sample5();
Code:
0: aload_0
1: invokespecial #1 // Method java/lang/Object."<init>":()V
4: return
public void ifSample();
Code:
0: getstatic #2 // Field java/lang/System.out:Ljava/io/PrintStream;
3: ldc #3 // String 到達可能
5: invokevirtual #4 // Method java/io/PrintStream.println:(Ljava/lang/String;)V
8: return
}
if 文の中身はありますが、条件を評価している部分がなくなりました。
if がこのように特別扱いになっているのは、次のようなコードを書けるようにするためです。
static final boolean DEBUG = true;
void sample() {
if(DEBUG) { System.out.println("logging"); }
}
先述の特徴があるので、定数 DEBUG が true ならロギングされるけども、 false ならロギングのコードがクラスファイルからも消える、という感じです。
return を書かずに戻り値のあるメソッドを定義する
return 文にはどうしてもセミコロンを書く必要があります。 それが故にセミコロンレスJavaでは戻り値のあるメソッドを定義することはできないと考えられていました。
私も「どのようにすればセミコロンを省略して return が書けるのか」と考えては挫折を繰り返してきましたが、 あるとき「セミコロンを省略して return が書けないなら、そもそも return を書かなければ良いのでは」と発想の転換をしてみました。
前半で述べた通り、到達不能な文を含むとコンパイルエラーになります。 逆に考えると、無限ループは到達可能なのでコンパイルを通るし、無限ループの後ろは到達不能なので何を書いてもコンパイルエラーになる、ということですね。
while(true) {
//到達可能
}
//到達不能
これにより冒頭に記載したツイートの通り、セミコロンを書かずに戻り値のあるメソッドを定義できました。
public class Semicolonless {
String get() {
while (true) {
}
}
}
ちなみにセミコロンはともかく、 return を書かずに戻り値のあるメソッドを定義する方法としては例外を投げるというのもあります。 (例えば Thread.destroy() )
戻り値のあるメソッドに return 文なんて要らんかったんや!!!
まとめ
- 一見不可能に思えることでも考え方を変えることで解決する場合がある
- とはいえ解決したところで役に立たないものもある